
世界の投資家の7~8割は「自分は資産運用で成功していない」と回答しています。世界的な金融危機が起こる以前、マーケットが好調だった2006年に行われた調査結果です。投資家は何故、資産運用に失敗するのか――。それは、投資家が情報の非対称性(格差)が存在する市場のなかで、高値つかみやろうばい売りといった非合理な行動をとってしまうからでしょう。
金融商品取引法の施行や金融危機による販売不振などを振り返ってみると、投資家のリテラシーはもとより、金融機関の販売リテラシーにも大きな課題があることが浮かび上がってきます。少子高齢化で経済成長に限界のある我が国において投資の意義や必要性をきちんと伝えてきたのでしょうか。マーケットの波に乗って販売している限り、長期的な顧客満足度を高めることはできないと思われます。
『金融リテラシー研究所』は、投資信託をはじめとする金融商品を販売する金融機関に対して、顧客のリテラシー・レベルに応じた新しい販売手法を提案していきたい。これからの金融マーケティングには、投資家の心理特性と行動分析を採り入れた手法の導入が必要不可欠です。「リテラシー・マーケティング」という手法が顧客満足度を高める強力な武器になると確信しています。
わたしたちの仮説は、投資家のリテラシーは「経験」「知識」「意欲」の3つで構成されるという考え方です。従来のリテラシー教育は知識偏重で、投資知識を与えれば投資経験を重ねるという観点に立っています。しかし、ここでは投資意欲を高めることが重要になります。そして、投資家の意欲を高めることができるのは、数多くの情報でなく、販売担当者という人間の力です。
「10:3:1(トーサンイチバン)の法則」をご存知ですか――。投信会社が発信する10の情報のうち販売担当者には3ぐらいしか、投資家に至ってはわずか1しか伝わらないという現象です。こうした法則と投資家の行動特性を十分に把握したうえで、リテラシー・マーケティングを導入することで、顧客の満足度を長期的に高め、他の金融機関との差別化を望むものです。